15年間、日本の政治に大きな影響を与え続けた安倍晋三元首相が、
7月8日、政治集会中に銃撃され亡くなられたニュースをフランスのラジオで聞きました。
襲撃に使用した銃は、容疑者が自作したとのこと。
日本では、武器に対する規制が非常に厳しく、
銃の免許を取得するのは非常に困難と聞いています。
なのに…。
現在、銃は、簡単に所持でき、
また、簡単に作ることができるようになってきています。
たしか、”3Dプリンターで銃を作成して逮捕された事件”は、記憶に新しいところです。
何処の国が銃を多く所持しているの?
アメリカが一番多く、次がイエメン、隣国スイスが3番目、
フランスは、12番目です。
フランスと銃
フランスでは、540万丁の銃が申告され、合法的に使用されています。
400万人の狩猟者に加え、スポーツのバイアスロン選手、銃のコレクターなど、さまざまな人が所有しています。
フランスでは、2022年1月8日(火)より、「銃の所有申告」が、コンピュータ化され、
新しい登録ソフト「SIA(武器情報システム)」を使用した登録方法が施行されています。
この新システムは、銃のトレーサビリティ(商品がどのような場所で作られ、流通し、販売されているのかを把握)を向上させるだけでなく、
銃の取得や既存の銃の申告をすべてオンラインで行うため、
今まで、とても時間と手間が掛かっていた手続きが、よりスムーズにできるようになりました。
フランスでは、4つのカテゴリーに分類
フランスで銃を取得する方法はいくつかありますが、必ず、書類登録を必要とします。
”武器の種類”ということで、国内安全保障法L311-2以下の条文で決められています。
A、B、C、D、4つのカテゴリーがあります。
カテゴリーA
特別な特赦がない限り入手が禁止されている戦争兵器、
すなわち自動小銃、大容量の半自動小銃、戦争用口径、爆発物などが含まれます。
カテゴリーB
拳銃、長銃を問わず、セミオートマティック武器が含まれ、最近では散弾銃もこのカテゴリーに含まれます。
また、レーザー銃や催涙スプレーの一部はカテゴリーBに含まれます。
5年ごとに更新、県の認可が必要。
カテゴリーC
手動で繰り返し使用する武器が含まれ、その取得は申告制となっています。
カテゴリーD
市販されている武器に関するもので、年齢が達していれば入手できます。
未成年者は銃を持つことができるの?
(2022年5月11日確認 – Direction de l’information légale et administrative)
フランスでは、射撃競技や狩猟をやっている子どもたちがいます。
そこで、未成年者たちに銃を持たせてもいいものか、疑問に思いました。
9歳から12歳以上
9歳から12歳以上の未成年者が所持できるのは、カテゴリーDの銃とその弾薬のみです。
発射体が非火工品的方法で推進され、銃口のエネルギーが2~20ジュールの銃またはランチャー。
例えば、ペイントボールランチャー、エアライフルなどです。
この規則を遵守しない場合、750ユーロ以下の罰金(約10万円)が科せられます。
12歳から16歳以上
カテゴリーDとCの武器およびその弾薬を所持することができます。
また、カテゴリーA、Bの武器の所持を許可されることがあります。
例えば、拳銃、長銃など
- 国際射撃競技大会に選抜された場合
- 公認スポーツ協会の会員である
- フランス射撃連盟の有効なライセンスを所持している
- フランス射撃連盟から許可を受理している
これらの規制を遵守しない場合、750ユーロ以下の罰金が科せられます。
16歳以上18歳未満
16歳以上18歳未満は、狩猟用、バイアスロン用の銃などの使用ができます。
予期せぬアクシデント
今回、改めてフランスの銃の所持について調べてみると、様々な理由で銃を所持しているフランス人が多いことに驚きました。
もちろん、フランスではヨーロッパの中でも多々、銃を使った犯罪や襲撃、アクシデントが発生しています。
2022年、2月19日(土)にカッサニウーズ(カンタル県) Cassaniouze (Cantal)で、森をハイキングしていた25歳のハイカーをイノシシ狩り中だった17歳の狩猟者が殺害するという事件がありました。
この事件は過失致死罪で捜査され、未成年の狩猟についても問題視されました。
狩猟は、フランスの習慣なので、今後、この習慣を変えていくことは難しいのですが、
狩猟が解禁される時期になると、”狩猟のあり方について”賛否両論が巻き起こるフランスです。