フランスでは、正社員(CDI)になるとき、契約書にサインすることで、
会社側は簡単に、この正社員を契約解除することができなくなります。
しかし、正社員側も”仕事を辞めたい”と思っても、契約解除することが
難しくなり、会社側から退職届を無効とされる場合が多々あります。
会社側は、退職者に一銭も払いたくない
会社側は、もちろん利益を失いたくないので、
退職者に対して、一銭も払いたくないのは当たり前。
- 退職時に発生する金額を払いたくない
- 人手不足で、後任者を見つけるのが困難 などの理由で、
退職届を出しても、拒否されるのです。
しかし、失業手当などの給付金や勤続手当をもらえなくても良いという条件で、
退職する場合は、比較的スムーズに退職できます。
この場合、次の仕事が決まっている場合は問題ありませんが、
そうでない場合、生活していく条件が厳しくなります。
中には、それを覚悟して、退職する人もいます。
円満契約解除(une rupture à l’amiable)
フランスでは、”円満退職”のためにお互い、
合意を得るまで交渉します。
なぜなら、正社員にとって円満に仕事を辞めることができると、
第一に、円満契約解除により、失業給付を受けることができる。
第二に、雇用契約の円満終了により、
少なくとも法定退職金と同額の補償金を受けることができるからです。
もし交渉しても、円満な合意できない場合は、
契約解除を争うために「コンセイユ・ド・プリュドム」に提訴できます。
期限は、契約解除の承認日から12ヶ月間です。
円満契約解除の補償金の計算方法
円満契約解除の場合、賞与、有給休暇補償金、法定外補償金に加え、
具体的な退職金が社員に支払われます。
例:17年間勤務した正社員、月給は2,500ユーロの場合。
基準月給=平均総支給額÷12カ月=2,500ユーロ×12カ月÷12カ月=2,500ユーロ
この人は、17年間在籍していたため、
退職金は年功序列の10年目までは基準月給の1/4、
10年目以降は基準月給の1/3となります。
(1/4×2,500ユーロ×10年)+(1/3×2,500ユーロ×7年)=6250ユーロ+5833ユーロ=12,083ユーロ
雇用契約終了時に、12,083ユーロ(約200万円 1EUR = 169円)に相当する
契約解除補償金を受け取る権利があります。
フランスでは、
“il est préférable de négocier un mauvais accord plutôt que de gagner un bon procès”
「良い裁判に勝つより、悪い和解交渉をする方が良い」
ということわざがあります。
かしこく、仕事を辞めましょう。