フランスでは、「算数障害」の人たちは、言語聴覚士のところへ通います。
「言語聴覚士」とは、話す・聞く・食べるなどのリハビリテーションを行う専門職の事。
具体的には、言語、聴覚、発声、発音、認知、嚥下(飲み込み)などの機能を回復するために、医師の指示に基づき検査・評価を実施し、必要に応じてリハビリテーションを行う仕事です。
フランスでも、基本的には仕事内容は同じですが、「算数障害」も専門とする言語聴覚士がいます。
実は、フランスでは、算数障害の子供や大人がけっこういるのです。
算数障害とは?
フランスでは、ディスカルキュリ(dyscalculie)と呼ばれ、
学習障害の一つで、数的学習における、時間、計量および空間的推論、
計算を学習すること、数字を適切に扱うこと、応用問題など理解できず困難である者と定義されます。
しかし、ディスカルキュリでなくても、数学に困難を感じる人もいるため、障害者か否かを区別することが重要となります。
算数障害である場合、
論理・数学障害の専門資格を持つ言語聴覚療法士が、そのスキルを活かして困難を抱える子供や大人を治療します。
フランスでは、なんと人口の3-6%に算数障害があると言われています。
また、2015年、算数障害の子どもの11%が、
発達障害である注意欠陥・多動性障害(ADHD)を併発していることが確認されています。
そして、算数障害は、ターナー症候群や二分脊椎症を持つ人々とも関係しています。
数学を専門とする言語聴覚士
数学を専門とする言語聴覚士のグループがあります。
「GEPALM」 Groupe d’Etude sur la Psychopathologie des Activités
Logico-Mathématiques と呼ばれています。
言語聴覚士は、
数学的概念を理解するのが難しい、数量を推定するのが難しい、暗算が苦手である、
他の学習過程はうまくいっているのに掛け算表を覚えるのに苦労している、
などのが挙げられる人に対して、
数の認識と意味、暗算、問題を解決する能力、抽象的に考える能力、
観察、分析などの知能レベルの向上を目指します。
現代社会では、これらは、非常に重要な知識なのです。
まだ、大きく問題視されていませんが、
この「算数障害」は、フランスの算数教育に問題があることも要因の一つでもあります。