日本では、パティシエのレベルも上がり、店も増える中、
”資格や証明書がなくてもパティシエとして仕事できる”と聞いて驚きました。
日本でパティシエとして働くには、製菓専門学校で学ぶか、未経験でパティシエとして働き始め、現場で必要なスキルを身に着けていくというのです!
フランスでは、パティシエとして仕事するためには、証明書「CAP」が必要です。
CAPは、パティシエだけではありません。
- CAP Boulange (ベーカリー)
- CAP chocolatier-confiseur (チョコレート・コンフィズリー)
- CAP glacier-fabricant (アイスクリーム)
- CAP Pâtissier (パティスリー) 他
なぜ、CAPパティシエが人気なの?
パティスリーは、奥深く科学的であり芸術的センスも必要な職業なので、人気があります。
パティスリーショップ、ベーカリーとパティスリーショップ、チョコレートショップなどの従業員、ケータリング会社、レストラン、スーパーマーケット、工業用ペストリーの製造会社などの幅広い分野で働くことができるからです。
パティシエ、チョコレート職人のフレデリック・ボウ氏
フレデリック・ボウ氏は、デュルセの生みの親でもあります。
ホワイトチョコレートを温めていたのを忘れて誕生した”デュルセ Dulcey”この出来事は、日本で起こったそうなのです。
例えば、パティスリーによく使われるチョコレートは、正しい温度調節をしないとツヤが出ません。
見た目も、味も、食感も、このことを知っているか知らないかで差が出てくるわけです。
また、基本知識がないと、もちろん失敗に繋がります。
実は、パティスリーの本場フランスで、国籍年齢を問わず、証明書「CAP」の試験を受験することができます!
フランスの職業能力証明書「CAP」
CAPとは、Certificat d’Aptitude Professionnelle, フランス国立教育システムが発行するレベル3の職業能力証明書の卒業証書です。
CAPには、様々な職種の試験がある中に、パティシエになるための試験が含まれています。
この試験は、大人になってからでも”フリー受験者”でこの試験を受けることができます。
また、国籍も問いませんが、試験は全てフランス語で行われますので、フランス語で自分を表現できる能力(口語・筆記の初級レベル)が求められます。
フリー受験者として試験を受ける場合は18歳以上(フランスの成人年齢)でなければいけません。
海外に住んでいてもCAPパティシエの試験にインターネット出願で登録することができます。
ただし、免除の規定に見たない場合は再度一般科目を受けなければなりません。
審査する為に、取得した最終学歴の卒業証書と成績証明書が必要となります。
卒業証書と成績証明書がフランス語でない場合、フランス語の翻訳を添付して下さい。
既にフランスの卒業証書、BEP、BAC 、他の職種のCAPを持っている場合は、一般科目の全てのテストが免除されます。
この3つのフランスの卒業証書のどれかを持っていない場合は、一般科目の試験をすべて受けなければなりません。
一般科目の出題のレベルは中学3年生位です。
インターネット出願(Web出願)登録
今月より、2022年6月に行われる試験参加者登録の受付が始まりました。
(学校が登録を管理している学生は除く)
各管轄のアカデミーで登録日程が異なりますので確認して下さい。
例:クレテイユ・パリ・ベルサイユのアカデミーは、11月22日14時から12月13日23時59分(パリ時間)までです。
海外から登録する場合は、時差に気をつけて下さい。
下記のサイトよりアクセスして下さい。
2021年の試験から、理論よりも実践重視に
2021年から、CAPパティシエの試験の再編成が実施されています。
現在、理論よりも実践重視の内容になりました。
この編成により、CAPを取得したパティシエたちは、すぐに現場で働けるというわけです。
また、雇う側も証明書を取得したばかりのパティシエを信頼して採用できるようになりました。
14週間のインターンシップを義務付け
2022年6月にCAPパティシエを受験される方は、企業で14週間のインターンシップをしなければなりません。
インターンシップの目的は、個々の候補者をプロにすることと、実際の状況で練習する機会を与えることです。
CAPパティシエ受験者は、菓子製造部門のあるあらゆる企業でインターンシップを体験することができます。
なので、ベーカリーやペストリーショップだけでなく、スーパーマーケットやケータリング、レストランなどで働くことも可能です。
その上、インターシップ終了後、履歴書に14週間の経験を記載することができます。
受験登録の際に、インターンシップを終了したという「インターンシップ証明書」は、雇用者に記入してもらわなければなりません。
インターシップ証明書 例:クレテイユ・パリ・ベルサイユのアカデミー
Attestation de stage professionnel EP1
Attestation de stage professionnel EP2
登録-試験-結果の日程表 例:クレテイユ・パリ・ベルサイユのアカデミー
CAP PÂTISSERIE – SESSION 2022 CALENDRIER
フリー受験者にはどのような影響がありますか?
2021年より、フリー受験者にも14週間のインターンシップが義務づけられたため、夕方や週末に自宅でトレーニングするだけでは試験を受けることはできなくなりました。
有給休暇を利用してインターンシップできますが、14週間有給休暇を取ることは難しいフリー受験者が多いのが現実で、不利な状況になっています。
一般に、パティシエ養成学校へ通っている学生たちは、3年間の間に7週間のインターンシップを2回に分けて行っています。
試験の内容
変更前の実技試験はアントルメ、タルト、ヴィエノワズリー、シュークリームとシュー生地の4つで構成されていました。(上記図左)
2021年度より、試験は、筆記、口頭、実技が2日間かけて行われています。
EP1 1日目 ポール1:タワー、プティフール、トラベルケーキ
「タワー、プティフール、トラベルケーキ」では、プロとしてのスキルやノウハウを評価します。
実技は、2種類の生地を選び、クリーム、フォンサージュ、そしてプティフール、トラベルケーキ、メレンゲを作ります。
筆記試験の一部は環境衛生予防に関する問題です。
EP2 2日目 ポール2:アントルメと小さなケーキ
「アントルメと小さなケーキ」では、「仕事のスケジュール」を立てる能力を評価します。
実技では、2種類のベース(アントルメ用と小さなケーキ用)、2種類のフィリング、ポケット付きのドレッシング、アイシングの作成と塗布、少なくとも1つは、チョコレートのデコレーション、コルネでの筆記、製品のデコレーションを行います。
トラベルケーキなど忘れられていたケーキが試験に復活しています。
伝統的な大きなアントルメに加えて、現場で求められている小さなケーキも取り入れ、試験がモダン化されています。