フランスでは、自分の住む町に納める『住民税』が、2023年になくなります !
日本でいう住民税とは、
都道府県や市区町村がおこなう行政サービス、公共サービス(ごみ処理など)を維持するために必要な経費を分担し、教育や福祉の資金のために、お金を納めることです。
その年の1月1日現在の居住地に納税します。
住民税は収入によって、また、住んでいる地域によって納める金額が違ってきます。
フランスでも、『住民税』は日本と同じシステムです。
住民税が0ユーロに至るまでの経緯
所得の低い納税者から
2018年から所得の低い納税者が対象となり、減税が始まっています。
例えば独身者(1 part): 課税される所得金額が27,706ユーロ(日本円で約360万円 1€=130円)以下の方は、100% 対象者となります。
• 課税される所得金額の表は、下記に添付していますので参考にして下さい。
課税される所得金額表 (2020年度版)
Quotient
familial |
Seuils RFR à ne pas dépasser
pour bénéficier du dégrèvement de 100 % |
Seuils RFR à ne pas dépasser
pour bénéficier du dégrèvement dégressif |
---|---|---|
1 part | 27 706 € | 27 706 € < RFR ≤ 28 732 € |
1,5 part | 35 915 € | 35 915 € < RFR ≤ 37 454 € |
2 parts | 44 124 € | 44 124 € < RFR ≤ 46 176 € |
2,5 parts | 50 281 € | 50 281 € < RFR ≤ 52 333 € |
3 parts | 56 438 € | 56 438 € < RFR ≤ 58 490 € |
3,5 parts | 62 595 € | 62 595 € < RFR ≤ 64 647 € |
- Quotient familial ー 家族、扶養人数
例 : 2大人+1子供=2,5 parts - Seuils RFR à ne pas dépasser pour bénéficier du dégrèvement de 100 % ー 課税される取得金額 100%払い戻し
- Seuils RFR à ne pas dépasser pour bénéficier du dégrèvement dégressif ー 課税される取得金額 還付(金額が若干上回る場合)
2018年に30%、2019年に65%まで減税され、2020年には、完全に非課税となっています。
この改革により、フランスの約80%の世帯の住民税が非課税の対象となりました。
2020年11月に、フランスの約8割の世帯の住民はすでに ”住民税 0ユーロ” の明細書を受け取っています!
公共放送受信料
しかし、住民税と一緒に「公共放送受信料」(la contribution à l’audiovisuel public)という税金を支払う義務があります。
その金額は一律で、138ユーロ (日本円で約1万8千円 1€=130円)です。
NHKの受信料のような税金です。
この税金は、免除されません。本当にテレビがなく、テレビを視聴しない場合には、申告可能です。
所得の高い納税者
また、所得の高い納税者の約20%の世帯では、住民税は、2023年までの3年間で3分の1ずつ減税されます。
2021年には30%、2022年には65%、2023年には100%払い戻しされます。
なので、2023年には、フランスに在住している方全てに対して、住んでいる町に納める『住民税』がなくなるという訳です。
セカンドハウス(別荘)所有者
しかし、自宅以外のセカンドハウス(別荘など)は対象外です。セカンドハウス所有の方は、住民税が今まで通り課せられます。
住民税と固定資産税
住民税(Taxe d’habitation)と固定資産税(Taxe foncière)は、地方自治体の設備やサービスの財源に使われる地方税(Impôts locaux)です。
1つ目は、地位に関係なく、住宅の入居者に適用され、2つ目は所有者が支払うべきものであり、すべての不動産等に適応されます。
固定資産税とは、
固定資産税は、その物件が賃貸でも、不動産(住宅、駐車場、工業用や商業用の土地など)の所有者が毎年支払う税金です。
固定資産税には、建売物件にかかる固定資産税(TFPB)と非建売物件にかかる固定資産税(TFPNB)の2種類があります。
固定資産税は、その年の1月1日の状況に基づいています。例外的な場合を除き、空家は固定資産税の対象となります。
固定資産税は、地方自治体の設備やサービスのために使用される地方税の一つです。
地方税
全国固定資産所有者組合(UNPI)の固定資産税観測所の最新版によると、地方税は2009年から2019年の間に約32%も跳ね上がっているのです。
Argenteuil アルジャントイユでは+45.1%、Nantes ナントでは+38.5%、Nîmes ニームでは+15.7%、Caen カンでは+12%…。
住民税の廃止に伴い、ますます増税されるのではないか、と危惧する声もあります。
確かに、固定資産税の増税がなければ、今までの住民税の収入を今後どのようにまかなうのでしょうか?
出典 : www.impots.gouv.fr
出典 : www.journaldunet.com
まとめ
2020年フランスでは、COVID-19の影響で長期間に渡り、厳しい外出制限を強いられました。
フランス国民にとって、住民税が、減税そして非課税になる事は、経済的も精神的にも(固定資産税が上がったにもかかわらず)嬉しいことではあります。