リンゴ、砂糖、バター、小麦粉、塩の”5つの材料だけ”で作れる、フランス生まれのスイーツ「タルト・タタン(Tarte Tatin)」をご存知ですか?
「タルト・タタン」は、リンゴのタルトのようですが、「リンゴ・タルト」とは違います。
このタルトは、リンゴをたっぷり使い、しっとりとした食感がヘルシーで、
キャラメルの風味とリンゴの酸味のバランスが取れた昔から伝わるフランスのスイーツです。
バターと砂糖で火を通したリンゴをタルト型に敷きつめ、
その上にタルト生地をかぶせて焼き、
焼き上がったら、ひっくり返してリンゴの部分を上にして食べるのが「タルト・タタン」です。
タルト・タタン
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タルト・タタンの発祥は何処?
このタルト・タタンの起源は、パリから200kmも離れていない サントル=ヴァル・ド・ロワール地方ロワール=エ=シェール県の小さな村、ラモット・ブヴロン(Lamotte-Beuvron)にあります。
このタルト・タタンの発祥は、ステファニーとカロリンのタタン姉妹に由来していると伝えられています。
姉妹は、1894年から1906年まで、駅の向かいで「ホテル・タタン」を経営していました。
ホテル「タタン」 現在
長女のカロリンはお客さまの応対をし、ステファニーはキッチンで料理を担当してリンゴ・タルトなどを作っていました。
フランスで語り継がれている伝統のお話し
狩猟シーズンが始まったある日曜日、ステファニーは、忙しさのあまり、リンゴと砂糖だけを入れたタルト型を確かめずにオーブンに入れてしまいます。
あとで、タルト生地を入れ忘れたことに気づいた彼女は、作りなおす時間がないほど忙しかった為、このリンゴの上にタルト生地をのせ焼き上げます。
そして、タルト生地が下になるように、ひっくり返してお客に振る舞ったことが始まりと言われています。
偶然に出来上がった、このタルトがあまりにも美味しかったため、
タタン姉妹の名字を取って、「タルト・タタン」と名付けられました。
パリのレストラン「マキシムズ」から有名に!
Maxim’sのオーナー、ルイ・ヴォダル氏 (Louis Vaudale) が狩猟した時にこのタルトを食べ、その美味しさに魅せられた彼は、レシピを求めましたが、この時、二人の姉妹は断ったのでした。
その後、Maxim’sのパティシエの一人をラモット=ブヴロンに(スパイのように)派遣し”仕事を探している庭師のふりをして”有名なタルト・タタンのレシピを手に入れます。
このレシピを持ち帰り、Maxim’sで「マドモワゼル・タタンのタルト Tarte des demoiselles Tatin」と呼び、メニューに入れます。
当時、Maxim’sを有名にしたのは、「美食家のプリンス」と呼ばれた料理評論家のモーリス=エドモンド・セヨン(別名:クルノンスキー)でした。
彼が、このレシピを自分の本に掲載してから、パリのグルメたちに「タルト・タタン」が広まっていきます。
裏話し
実は、タルト・タタンは、ソローニュ(Sologne)の伝統菓子で、しっとりしたキャラメル風味のリンゴや洋ナシを使って作るタルトは、既に存在していました。
ステファニー・タタンが考案したものではありません。
1947年に、マドレーヌ・ドゥキュール(Madeleine Decure)と一緒に雑誌『Cuisine et Vins de France』を創刊した有名な美食評論家クルノンスキーが、
このタルト・タタンのレシピを紹介した時に、”オーブンに忘れられたリンゴ”の話しを掲載したのです。
この時から、タタン姉妹の伝説が伝えられはじめたという訳です。
パティシエたちのオリジナルなタルト・タタン
購入の際には、48時間前に注文しなければ、手間暇かかるため購入できません。
一般に、バニラクリームやアイスクリームを添えていただきます。
パリで、美味しい「タルト・タタン」が食べれるお店
カリスマ・パティシエ フィリップ・コンティチーニのタルト・タタン
東京・渋谷にも店を持つカリスマ・パティシエ フィリップ・コンティチーニの”母が作ってくれた伝統的なタタンの味を追求した”と言うタルト・タタンです。
このタルトを作るには、2日間かかります!
下記の動画で、フィリップ・コンティチーニのタルト・タタンの作り方を簡単に説明、出版されている本の内容も知ることができます。
タルト・タタンの作り方
Philandcocuisineさんが、フィリップ・コンティチーニのレシピをもとに、アマチュアでも作れるようにシンプルなレシピに変えています。
写真付きで作り方を説明していますので参考にして下さい。
レシピは、4~6人分、17×10×6.5cmの高さのケーキ型を使用
キャラメル(前日に作っておく)
- 砂糖 80g
- 水 大さじ2
フレーバージュース(前日に作る)
- 水 25g
- レモン汁 大さじ1
- 砂糖 25g
- バニラ 1本
- フルール・ド・セル(塩) 2つまみ
- バター 25g
リンゴの準備(前日に作っておきます)
- ゴールデンアップル(ペクチンを多く含むものが望ましい)5個
ヘーゼルナッツのショートブレッド(当日に作る)
- バター 70g
- アイシングシュガー 30g
- ヘーゼルナッツ 40g
- 卵黄 1個
- 小麦粉又はスペルト小麦粉 65g
- フルール・ド・セル(塩) 少々