フランスで、よく食されている ”そば粉のクレープ”。
ブルターニュ地方発祥のそば粉のクレープ(ガレット)は、フランスでとても有名。
ちなみに、ブルトン語で「クレープ」は、Krampouez 「クランプース」と言います。
また、クレープには、
ソバ粉のクレープ (Crêpes au blé noir) クレープ·オ·ブレ·ノワールと、
小麦粉のクレープ (Crêpes de froment) クレープ·ド·フロモンがあります。
小麦粉のクレープは甘く、ソバ粉のクレープは塩味が効いています。
ブルターニュでは、ガレットとクレープをよく混同することをご存知ですか?
実は地理の問題で、より正確には言語圏の問題なのです。
この問題については、バス・ブルターニュ (la Basse-Bretagne) とオート・ブルターニュ (la Haute-Bretagne) の事を知ると理解できます。
バス・ブルターニュ地方とは、西側のブルトン語が話されているブルターニュを指し、
オート・ブルターニュ地方とは、東側のガロ語が話されているブルターニュのことを指しています。
実際、ソバ粉のクレープ (Crêpes au blé noir)と小麦粉のクレープ (Crêpes de froment) の2種類しかありません。
バス・ブルターニュ地方では、ソバ粉のクレープや小麦粉のクレープを単に『クレープ』と呼びました。
しかし、オート・ブルターニュ地方では、『小麦粉のクレープをクレープ』と呼び、『ソバ粉のクレープをガレット』と呼んだため複雑になってしまったのです。
私は、オート・ブルターニュ地方のように、ソバ粉のクレープは、ガレットと呼んでいます。
ガレットとクレープのまめ知識
歴史
様々な研究の結果、その起源は紀元前7000年にまで遡ることが歴史家によって明らかにされています。
当時は、まだクレープとは呼ばれていませんでした。
どちらかというと大きくて分厚いパンケーキでした。
このパンケーキは、様々な穀物を砕いて作られた生地に水を加えて、あつあつに熱した平たい石の上で焼いていました。
13世紀頃にブルターニュ地方に登場したクレープ(ガレット) は、十字軍が持ち帰ったソバの栽培と関係があります。
当初は、そば粉のみで作られていましたが、20世紀初頭に白小麦粉が生産されるようになり、次第に変化して現在のクレープになりました。
ブルターニュ公爵夫人アンヌ La Duchesse Anne de Bretagne
そば粉の穀物栽培は、ブルターニュ公爵夫人アンヌの影響で16世紀頃から始まりました。
『植物ソバ』の様々な利点(栄養価と高収量)を確信した彼女は、この植物の栽培を公国全体に拡大することにしたのです。
このようにして、ソバはこの地域で最もよく知られた製品となります。
また、この頃から、そば粉の製粉も始められました。
聖燭祭 La Chandeleur ラ · シャンドルール
聖燭祭 (せいしょくさい)『キャンドルマス 英語: Candlemas』は、主にブルトンのクレープやガレットを準備することが特徴の宗教的なお祭りです。
この伝統シャンドルールのお祝いはローマ時代にさかのぼります。
一晩中、たいまつを灯してパンの神をたたえたお祭りです。
西暦472年に教皇ゲラシウス1世が、このお祭りをキリスト教のものとすることに決め、それ以来、信者はたいまつを灯すことでイエス・キリストを祝いました。
シャンドルールという言葉は、chandelle シャンデル(ろうそく)という言葉から来ています。
しかし、なぜ、2月2日にクレープを焼くのでしょうか?
当時の農民達は、冬に余った小麦粉を使ってクレープを作っていました。
また、クレープの丸い形と色は太陽の象徴のようにみえるからです。宗教的な信仰心からというより、シャンドルールはフランスの習慣となり現在も続いています。
シャンドルールの数週間前からフランスではクレープを作る材料や道具の宣伝が雑誌やテレビで見られます。
この日のクレープの食べ方は、一般的にプレーンで食べます。
ガレットとクレープを知る
焼く
クレープは、通常は縁がない円形のクレープ焼き機、『クレーピエール (crêpière) 又は、ガレトーワール (galétoire)とも言う』で焼きます。
ブルトン語では ピリッグ(pillig) と呼ばれています。
クレープ焼き機を使って焼くには、水平方向と円運動を行い、薄い層に生地を広げることができれば、上手に焼けます。
1949年創業のクレープメーカーの老舗です。
Krampouz CEBPA4AO Crêpière Vert
食べ方
フランス国内どこでも クレープ職人の国家資格を持った 職人 (crêpier クレピエ) が経営するクレープの店 (crêperie クレープリー) が、沢山あります。
クレープリー (crêperie) では、クレープをフルコースで頂くのが一般的です。
クレープと合う飲み物は、リンゴの発泡酒(シードル)がお勧めで、陶器のまるいボール型のカップ『ボレ』で飲みます。
また、デザートのクレープは、トッピングを選ぶことができます。例えば、溶かしたチョコレートと砕いたヘーゼルナッツ、砂糖漬けのフルーツ、砂糖とバターで調理したリンゴ、キャラメル、バニラアイスクリームやカスタードなど、クレープをより美味しく食べるために、自分好みのクレープにして食べることができるのです。
そば粉
フランスでは、『farine de blé noir dite de ”sarrasin”』黒小麦の粉をそば粉と言います。タンパク質、アミノ酸が豊富でビタミンB1、B2、E、ミネラルそしてポリフェノールも含まれており抗酸化作用があります。またグルテンフリーのパンにも使用できます。
肥えてない土地、ブルターニュ地方やノルマンディー地方で、育てる事ができ、収穫までの期間も短く5月末に種を植えると9月に収穫することができるので ”plante des 100 jours” 100日の植物と呼ばれています。有機農法の商品(bioオーガニック)は、”meules de pierre” 大きな石臼を使った石臼製粉のそば粉が主流です。
お米の代わりになるソバの実を香ばしくグリルしたものもあります。
シェフ 正行による 『そばの実と椎茸とブロッコリーのソース』
そば粉のクレープの作り方
日本でソバと言えば、『年越しソバ』など日本の文化の一つと言える食材です。
日本では、麺にして食べるのが一般的ですが、フランスでは ” Galettes au sarrasin(ガレット·オ·サラザン)” そば粉をクレープにして食べます。
ガレットは、ソバのかおりが香ばしく、パリパリとした食感があります。
また、手頃な値段で食べることができるので、フランスではガレット(そば粉のクレープ)専門店は人気があります。
最近は、日本でもフレンチスタイルのクレープやガレットを食べる事ができるようです。
また、家庭でもガレット(そば粉のクレープ)は、簡単に楽しく作る事ができます。
材料
- そば粉 125g
- イースト菌 5g
- 塩こしょう 少々
- たまご 2個
- オイル 大さじ2
- 少し温めた牛乳 300ml
- バター 少々
クレープの中に入れる具(Crêpes Complètes クレープ.コンプレット )
- たまご
- ハム
- とろけるチーズ
− お好みに合わせて、マッシュルームなど好きな具を入れて下さい。
作り方
今回は、クレープ用の薄いフランパンを使用します。
通常のフライパンでも出来ます。
そば粉をボールに入れます。
イースト菌を入れます。
塩こしょうを入れ、混ぜます。
混ぜた粉の真ん中に穴を作ります。
そこへ、たまごを入れます。
力強く混ぜます。
オイルを入れ、混ぜます。
混ぜました。
牛乳を少しずつ混ぜながら入れます。
とろみが出たら、ゆっくり混ぜます。
生地が出来ました。
バターを溶かします。
ここが大切、お玉杓子一杯分の生地を一気に流し入れ、生地がフライパン一面に行き渡るように素早く回します。
なるべく、薄めの生地を作ります。
ソバの香ばしさが出るくらい焼きます。
そこへ、チーズを入れます。
チーズが少し溶けたら、ハムを乗せます。
たまごを乗せ、しっかり焼きます。
クレープの生地のはしを折ります。
完成
出来上がりです。
たまごがとろけて、ほどよい焼き具合です。